沖縄県辺野古で新基地建設に抗議していた、芥川賞作家の目取真俊(めどるま しゅん)さんが米軍に拘束されました。
こういう著名な方が捕まると、辺野古の現状がいろいろと報道されて、民衆の注目が集まります。
抗議活動をやめてほしい米軍側からすれば、逆効果になってしまうでしょうね。
目取真俊さんは、沖縄の戦争を題材に現代の視点での小説を書き続けている方です。
(トップ画像:http://dot.asahi.com/wa/2015071500006.html)
芥川賞作家、目取真 俊さんの経歴・プロフィール
読み方:めどるま しゅん
本名:島袋 正
生年月日:1960年10月6日
出身:沖縄県今帰仁村
学歴:琉球大学法文学部卒業
目取真さんは、大学卒業後、期間工、警備員、塾講師などを経て、県立高校の国語教師になりました。
1997年、『水滴』で第27回九州芸術祭文学賞と第117回芥川賞受賞。
2000年、『魂込め』で木山捷平文学賞と川端康成文学賞を受賞。
2003年に高校教師を退職しています。
2004年、小説『風音』を自ら脚本化し、東陽一監督によって映画化。
モントリオール世界映画祭で、イノベーション賞を受賞しています。
小説の題材は、沖縄についてがほとんど。
過去の戦争と、在日米軍の問題、沖縄の自然風土と現代に生きる人々の物語であり、寓話的な話が多いそうです。
短編小説がほとんど。
『虹の鳥』は長編小説で、在日米軍や沖縄の暴力団にからむ若者の姿を描いた作品です。
また、地元沖縄の新聞や雑誌にエッセイ・評論を書いています。
芥川賞を受賞した『水滴』とは、どんな小説か?
徳正の右足が突然冬瓜のように膨れ始め、親指の先から水が噴き出したのは六月半ばだった。
それから夜毎、徳正のベッドを男たちの亡霊が訪れ、滴る水に口をつける。
五十年前の沖縄戦で、壕に置き去りにされた兵士たちだった…。
沖縄の過去と現在が交錯してゆく芥川賞受賞作
(引用:amazon.co.jp)
芥川賞受賞した時の、選考委員の評言の一部を抜粋しました。
「問題は一九四五年だけでなく戦後五十余年に及ぶこと、被害者としてだけ戦争と自分を装ってきたこと(沖縄だけであるまい)――戦後の自己欺瞞を作者は問い直している。」
「その無意識の長い罪を意識化し悔い改め救われるメデタイ話ではない」
「すぐれて沖縄的で現代的な小説である。」
「戦争体験者の体験意識の途方もない、風化ならぬ通俗化に対する痛烈な批判とも聞えるのである。」
「これは沖縄ならでは成り立たぬ現代の寓話だろう。」
突然右足が腫れて、水が噴き出す。
それを夜な夜な飲みに来る謎の男。
正体は、太平洋戦争で犠牲となった沖縄の兵士の亡霊だった・・・。
主人公の戦争時の痛烈な体験、罪悪感・・・生き残った人々のトラウマ。
短編小説ですが、非常に重い話です。
なぜ、戦争を体験していない目取真さんが、このような話を書けたのでしょうか?
沖縄に生まれて、沖縄の問題を小説という形で表現し続けている目取真さん。
私自身は、父親が沖縄県出身ということもあり、沖縄の問題に思うところもあります。
それでも、本土で生まれて、ずっと本土に住んでいると関心が薄れてしまうのが現実です。
今回のニュースで、今一度、沖縄の問題は日本の問題であるという意識を再認識しました。
自分にできる形で、向き合っていこうと思います。
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