ジョン・マドックス賞受賞、村中璃子さんって?経歴や本名は?

科学雑誌『ネイチャー』などが主催するジョン・マドックス賞。

2017年は、日本人の村中璃子さんが受賞されました。

おめでとうございます!

医者とジャーナリストという2つの肩書を持つ女性ですが、どういう方なのでしょうか?

また、ジョン・マドックス賞はどんな賞なのでしょうか?

調べてみたら、日本の、特に女性なら無視できない『子宮頸がんワクチン問題』に関連するものでした。

(トップ画像:https://twitter.com/nresearchnews/status/936322171839893504

 

村中璃子さんの経歴

名前:村中璃子(むらなか りこ)

出身:東京都

 

1995年、一橋大学社会学部卒業、同大学社会学研究科修士課程修了。

その後、北海道大学医学部を卒業。

 

世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局の新興・再興感染症チーム等を経て、帰国。

2014年、エボラ出血熱の流行について、感染症と国防の問題を扱ったシリーズ記事を執筆。

読売新聞「回顧論壇2014」で、政治学者の遠藤乾氏の選んだ論考三選に入る。

 

2015年10月に子宮頸がんワクチン問題について、Wedge infinityに執筆。

  • 「あの激しいけいれんは本当に子宮頸がんワクチンの副反応なのか」
  • 「子宮頸がんワクチン薬害説にサイエンスはあるか」
  • 「子宮頸がんワクチンの生だと苦しむ少女たちをどう救うか」

 

月刊『Wedge』、『新潮45』日経ビジネスオンライン、現代ビジネスオンライン、AERA、週刊朝日等に執筆。

 

2016年4月~9月までTokyoエフエム系列のJFNラジオ「村中璃子の文系女医のニュースラボ」を担当。

 

2017年11月、科学雑誌『ネイチャー』のジョン・マドックス賞受賞

日本人では初めて

 

現在は東洋経済社の女性向けメディア『ハレタル』にて、科学書のブックレビューを連載中。

京都大学医学研究科非常勤講師もされているそうです。

 

村中璃子という名は、ペンネームです。

本名は調べて分かったのですが、村中さんのインタビューに

「医業と執筆業を分け、自分の患者さんに混乱を与えないためのもの」

とあったので、ここには書かないでおきます。

 

医者とジャーナリスト、2つの職業を持つ村中さん。

お父さんが政治記者だったそうです。

母方が医者の多い家系だそうで、今のワークスタイルは、環境の影響が大きいのかもしれませんね。

それでも子供の頃は、記者も医者もなりたいと思わなかったそうです。

 

医者を志すきっかけは、大学生になってから。

長期休みの旅に、海外に行くバックパッカーだったそうです。

特に発展途上国を回るうちに、貧困と死が日本より高い密度で日常にある世界を見て、医療の道へ進むことを考えるようになったそうです。

 

一橋大学卒業後、北海道で6年間医学を学び、卒業後はWHOへ。

WHOでは、SARSや鳥インフルエンザ、エボラ出血熱など世界的脅威の感染症に関わるチームに所属

未知の感染症に対する、医療の現場と、メディア報道の現場、両方を同時に見る環境にいたのですね。

それが、今の彼女のジャーナリズムにつながっているように思えます。

 

帰国後は、2年ほどワクチン製造会社に勤め、またWHOへ。

新型インフルエンザのアウトブレイクが起きたためでした。

 

そして、今度はジャーナリズムの世界へ。

大学時代の友人が新聞社に勤めており、医療関係者とメディア関係者の懇親会に出席。

そこから縁ができ、記事を書いてほしいと頼まれるようになったそうです。

 

医療現場、国際行政、ワクチン開発ビジネス、ジャーナリズム、多くの業界を経験されているんですね。

これは、説得力の高い記事が書けるのも、納得です。

さらに、私のような一般人にも分かるように書かれているので、伝える力が半端ないですね。地頭もすごく良い方なんだと感じます。
経歴については、村中璃子オフィシャルサイトとインタビュー記事を参照しました。

 

ジョン・マドックス賞とは?

ジョン・マドックス賞は、世界的に権威ある科学雑誌『ネイチャー』などが主催している国際的な賞です。

ジョン・マドックスは、『ネイチャー』の編集者だった方です。2009年にお亡くなりになられています。

このマドックスさんと、友人のラルフ・コーンさん設立の『コーン財団』、

イギリスの公共における健全な科学情報の普及・修正を目的とした団体『センス・アバウト・サイエンス』の3団体が共催による賞が、ジョン・マドックス賞です。

 

どんな人に贈られるかというと、

公共の利益に関わる問題について健全な科学とエビデンスを広めるために、障害や敵意にさらされながらも貢献した個人に与えられる国際的な賞。

(出典:ウィキペディア)

 

村中璃子さんは、『子宮頸がんワクチン問題』について、

「日本人女性の健康だけでなく、世界の公衆衛生にとって深刻な問題であることを明らかにしたこと」

を高く評価されて受賞となりました。

 

子宮頸がんワクチン問題とは?

子宮頸がんワクチン問題は、特に日本がWHOから名指しで指摘されている問題なのですが。

まず、子宮頸がんは、「ヒトパピローマウイルス(HPV)」によって発生するがんです。

日本では毎年約1万人が罹患しているそうです。

 

ウイルスが原因なら、ワクチンで予防が可能なはずです。

そう考えられ、製薬会社によってワクチンが作られました。

 

日本では、2009年にワクチンの認可がおりました。

2010年11月には「ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金」が成立。

ワクチン接種は公費負担になります。

2013年3月、ワクチンの定期接種化が決定。

主に女子中学生を対象に、自治体や学校から接種をすすめる通知がされました。

 

しかし、ワクチンを接種した一部の患者に、けいれん、硬直、めまいといった症状が発症。

味覚障害、呼吸困難、歩行困難など生活に支障が出る重篤なものも。

 

このことがマスコミで大々的に報道され、子宮頸がんワクチンの接種率は一時70%近くあったのが、数%まで落ち込みました。

子宮頸がんワクチンは危ないというイメージが定着します。

ただし、副反応と子宮頸がんワクチンの因果関係は証明されていません。

 

しかし、騒動が大きくなり、厚労省は「子宮頸がんワクチンの定期接種を積極的に勧奨すべきではない」としました。

 

一方、WHOからは

「専門家の副反応検討委員会は子宮頸がんワクチンと副反応の因果関係は無いとの結論を出したにもかかわらず、国は接種を再開できないでいる。以前からGASVSが指摘しているとおり、薄弱なエビデンスに基づく政治判断は安全で効果あるワクチンの接種を妨げ、真の被害をもたらす可能性がある」

(引用:村中璃子さんの記事http://wedge.ismedia.jp/articles/-/5771)

と、日本の対応を批判されています。

 

また、医療関係者からも、定期接種勧奨再開すべきという声もあがっています。

 

というのも、子宮頸がんワクチンで重篤な副反応が出る確率は、0.004%

副反応とワクチンの因果関係を証明するエビデンスもない。

さらに、先進国でこのワクチン普及に消極的なのは日本だけ。

オーストラリアやイギリスでは、子宮頸がんワクチンの安全性と劇的効果が実証されているという状況から、合理的な判断をすれば、摂取した方が子宮頸がん患者総数は減るということになるのでしょう。

 

分かるけど、難しい問題ですよね。

感情的には、副反応が出た方の悲痛な訴えを見てしまうと、怖くなっちゃいますし。

数字たけ見れば、接種した方がリスクは少ないって分かるんですが。

イメージの定着って、恐ろしい。メディアは罪深いですよ、ホント・・・。

 

まあ、私は大人なので、自分で判断すればいいのですが。

娘を持つ親たちには、とても過酷な判断を強いているように思います。

子宮頸がんは、性行為によって感染するものですよね。

となると、性行為をするより先に接種しておくのが最も効果が期待できます。

しかし、子供に接種させるかどうかの判断は親がします。

どうでしょう、自分が親だったら。

子供が大人になり、自分で判断するまで待ちますか?

それまで、その子が感染しない保証は無いのに。

すごく、難しい問題です。

 

今回の受賞では、とても名誉なことです。

が、それ以上に、私のような医療や科学の専門知識がない一般人が、こういう医療や健康に関する情報に対してどう受け止めていけばいいのか。

メディアや政府は、どのように世間に影響を与えていくべきなのか、議論されるようになればいいと思っています。