洋画を見る時は、字幕ですか?
それとも、吹き替えですか?
映画好きなら、誰もが知っている字幕翻訳家・戸田奈津子さん。
誤訳や超意訳も多い彼女が、映画字幕会のトップに居続ける理由に興味があり、ちょっと知らべてみました。
(トップ画像:https://www.travelbook.co.jp/topic/734)
映画字幕翻訳家・戸田奈津子さんの経歴
まずは、基本プロフィール。
生年月日:1936年7月3日 現在78歳
出身:東京都
大学:津田塾大学英文科
【現在までの簡単な経歴】
生命保険会社の秘書を1年半でやめ、字幕翻訳家・清水俊二さんに弟子入り。
彼の紹介で、日本ユナイト映画のアルバイトをする。
同社宣伝部長だった、水野晴郎さんに頼まれ海外映画人の通訳をするようになる。
1970年、師・清水俊二さんのアドバイスで、『野生の少年』で初めて字幕翻訳を任される。
その後、バイトも続けながら年間2,3本の映画の字幕翻訳をするようになる。
コッポラ監督来日時に、通訳をつとめる。
ロケ現地にも『地獄の黙示録』の音楽担当する冨田勲さんの通訳として同行する。
それが縁で、コッポラ監督から『地獄の黙示録』の字幕翻訳を推薦され担当。
アカデミー賞8部門受賞の名作映画。
この作品をきっかけに、字幕翻訳家として一躍有名に。
年間50本。1周間に1本のペースで字幕翻訳をする。
超意訳、誤訳が多すぎて、スタンリー・キューブリック監督から『フルメタル・ジャケット』の字幕担当から降ろされる。
(スラングやSF系の特殊な言葉は苦手なようですね。)
58歳の時、加齢黄斑変性症と診断される。左目がほぼ見えない状態に。
(記事参照⇒失明率1位の黄斑変性症ってどんな病気?予防法・治療法は?)
仕事のペースは、週1本から月1本程度に落としている。
戸田奈津子さんの年収は?
映画字幕翻訳は、だいたい1本、40~50万円だそうです。
戸田さんの場合、年間40~50本ですから、低く見積もっても、1600万円以上ってことですね。
しかし、日本のトップだと考えると、それほど儲かる職業ではないのかも?
しかも、今は月1本程度と言ってますから、年収は600万円前後と予想できます。
戸田さんの場合、字幕翻訳の他、ハリウッドスターの通訳でもたびたび登場しています。
他の収入源もあるんでしょうね。
(トム・クルーズと仲良しなのは有名)
(ジョニー・デップとも)
左目が見えないことを公表した時のインタビューでも、左目をつぶって右目だけを使って仕事していると言っていました。
大変不便しているようでしたが「楽しい仕事だし、好きで選んだのだから」と、天職はやめる気が全くないそうです。
日本では20人程度?字幕翻訳家の超狭き門!
戸田さんが言うには、日本の字幕翻訳家は20人程度だそうです。
それだけいれば、十分こと足りるんだとか。
映画字幕翻訳は本などの翻訳と違い文字数制限がある、ちょっと特殊な世界。
それに、映画は英語とは限りません。
フランス語やイタリア語、ロシア語など、それぞれの字幕翻訳家が必要です。
それでも、20人程度で足りてしまうのですから、かなり狭き門ですよね。
映画好きなら、憧れる職業の一つでしょうが才能とコネと運が必要なようです。
戸田さんも、タイミングが重要と言っています。
誰かが辞めて、空席が出来た時に、ポンとうまく入れた人のみが字幕翻訳家になれるんですね。
そのためには、映画関係者に人脈を築き、翻訳の実力を見せつつ、映画字幕翻訳をやりたいことをアピールし続け・・・
それで、運が良ければ・・・。
戸田さん自身も、努力しても夢は叶うか叶わないか、5分5分だと言っています。
それを認めた上で
「自分で決めたことだから、それでいいと判断したのです。
それでダメでも、挫折しても誰も責められません。
ただ、高度成長の時代でしたから、失敗したとしても餓死はしないなと思っていました。それがボトムラインと思えば、怖くありませんでした。」
と、語っています。
最近は、日本で公開される映画も、フランス・イタリア・スペイン・ドイツ・ロシア・フィンランド・韓国・中国とかなり多言語。
配給会社も字幕翻訳家を探すのに苦労しているようです。
狙うなら、英語以外の言語がいいかもしれませんね。
字幕文化は日本独自?
海外では、字幕よりも圧倒的に吹き替えが人気です。
字幕文化がここまで支持されているのは、日本ぐらいのものだそうです。
吹き替えには声優さんが必要ですし、かなりお金がかかります。
字幕なら翻訳家一人ですから、費用が桁違いのため、日本映画は字幕が多いらしいです。
個人的には、日本人の字幕好きには日本語と漫画の文化が影響しているのではないかと思います。
字幕だと、映像と文字を同時に見なくてはいけません。
目を使って、「聞く」と「見る」作業を同時にやってのける必要があります。
これって、おそらく海外の方は苦手だと思うんです。
理由は、内田樹さんの本に書いてあったと思うのですが。
漢字は絵のような、それ自体に意味があります。
そして、ひらがなとカタカナで音を表現します。
つまり、日本語を読むっていうのは「絵」を見ながら「音」を聞いてる状態。
一方、外国語の多くは、アルファベットや漢字など、「音」だけの表現手法です。
だから、「聞く」だけでいいんですね。
日本語だけが「聞く」と「見る」の両方を要求されている。
だから、海外では「聞く」「見る」両方使う漫画より、「聞く」は耳にやらせて、「見る」は目で行う、分業できるアニメの方が人気があるんだとか。
(確かそんな内容でした。あと、これは誰かが証明したわけでなく、あくまで内田先生の「じゃないかな~」という考えの域です。誤解の無いように。)
まあ、日本人にとって字幕を読みつつ映画を見るのは、大して苦にならないですね。
それなら俳優本人の声で映画を楽しみたいっていう思いがあるんじゃないかな~と。
映画好きとしては思うところでした(^^)
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