日本の一万円札に描かれている人物、福沢諭吉。
世界の紙幣の約7割が、人物の肖像画が採用されています。
描かれるのは、各国の歴史上重要な人物であることが多いです。
では、日本の一万円札は、なぜ二回連続で福沢諭吉だったのでしょうか?
紙幣に肖像画が描かれる理由
日本で最初に肖像画が描かれ紙幣が発行されたのは、1881年。
神功皇后(じんぐうこうごう)という人物で、開化天皇の子孫にあたり、仲哀天皇の皇后です。
記念すべき最初の紙幣の顔は、女性だったのですね!
日本のみならず、世界各国の紙幣には肖像画が描かれることが多いです。
アメリカ1ドル札は、ワシントン大統領、
5ドル札は、リンカーン大統領、
イギリスでは、エリザベス女王、
インドは、マハトマ・ガンディー
中国は、毛沢東、
南アフリカ共和国は、ネルソン・マンデラ大統領。
いずれも、各国の歴史において多大な影響を与えた偉人ばかり。
世界で発行される紙幣の約7割が、肖像画が採用されているそうです。
紙幣に人物が描かれる最大の理由は「ニセ札防止」。
人間は、「顔」を認識する能力に優れています。
その為、ニセ札に描かれている人物の微妙な違い、わずかな表情の変化にも気づきやすいんだそうです。
日本で、お金の肖像に選ぶ人物の基準は以下3点だそうです。
・日本国民が世界に誇れる人物
・一般的によく知られている人物
・偽造防止の面から、なるべく精密な人物像の写真や絵画を入手できる人物
特に3つ目の精密な人物像と言う理由から、髭やシワのある、年配の男性が選ばれる傾向にあったそうです。
夏目漱石、新渡戸稲造、野口英世、なんかは正にそうですよね。
一万円札に2回選ばれた、福沢諭吉という人物とは?
2004年11月1日より、日本の紙幣はデザインが変わり、今の福沢諭吉(1万円)、樋口一葉(5千円)、野口英世(千円)に変わりましたね。
その前は、福沢諭吉(1万円)、新渡戸稲造(5千円)、夏目漱石(千円)でした。
福沢諭吉だけ、2回連続で最高額の一万円札に描かれ続けているんですよね。
福沢諭吉は「学問のすゝめ」で有名な蘭学者、啓蒙思想家、教育者。
明治維新頃に活躍し、近代日本において学問の普及に貢献した人物です。
慶応義塾大学を含む慶應義塾の創設者。
加えて、その他にも後の専修大学となる専修学校や、後の一橋大学となる商法講習所などの創設にも尽力されました。
さて、福沢諭吉だけがそのまま一万円札に描かれた理由として、公式には
新札発行は偽造防止が目的であって短期間で実施する必要があるため、発行枚数が最も多かった一万円札の肖像は福沢諭吉のままにした。
とされています。
ただ、当時の総理大臣であった小泉純一郎さん、財務大臣の塩川正十郎さんが揃って慶應義塾大学出身。官邸や関係者にも慶応大学に関係する方がいて、その為、福沢諭吉が続けて選ばれたのではという憶測もあります。
まあ、真相は分かりませんがね。
個人的には、福沢諭吉が一万円札に相応しいと思っています。
彼の書いた「学問のすゝめ」は
「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」
の一文が有名で、さも、人類平等を説いているように誤解しがちです。
しかし、読めば分かるのですが、福沢諭吉の主張は全く逆です。
「人は生まれながらに不平等。現実を見れば貧乏人と金持ちといるじゃないか。」
「この世は強者がルールを作る。だからこそ、勉強しなければ、いつまでも貧乏人から抜け出せないぞ」
私が読んだ印象はこんな感じでした。
現代語訳版がたくさん出ているので、ぜひ読むことをお勧めします。
現代にも通じるものがたくさん書かれています。
私の中で、学生時代に最も読んでおきたかった一冊です。
世界の紙幣に書かれている肖像画の人物はこんな偉人達!
アメリカを始め、多くの国では政治家が紙幣によく描かれています。
とりわけ、初代大統領は描かれることが多いです。
やはり自国の独立に関わった人物が選ばれやすいのでしょう。
ガンディー然り、マンデラ然り。
そして、多くは故人です。
現在もご存命で描かれている人物もいます。
イギリス女王、エリザベス2世です。
イギリスの20ポンド紙幣の他、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、さらにイギリスの海外領土であるケイマン諸島などの紙幣にも用いられています。
これは、大英帝国時代の名残ですね。
面白いことに、エリザベス女王の紙幣は、ご本人の年齢に応じて肖像画が改訂されています。
1960年、初めて1ポンド札に登場した時には34歳頃の姿。
1990年以降の紙幣には60歳頃の姿が用いられているそうです。
最近では、アメリカの新20ドル札に、黒人女性のハリエット・タブマンが採用されることが発表されました。
アメリカ紙幣で女性が採用されるのは初めてで、それが黒人女性だというから驚きですね。
彼女は黒人奴隷解放に尽力した女性で、「黒人モーセ」、「女モーセ」と形容されることもあります。
彼女と20ドル札のエピソードも、非常に皮肉めいていて面白いです。
→ ハリエット・タブマンとは?新20ドル札と「黒人モーセ」の皮肉な話
お金の歴史は、いろいろ面白いエピソードが多いです。
国の根幹にそれだけ大きく関わるものなんですよね。
お金という視点で見れば、歴史はもっと面白く学べるのかもしれませんね。
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