美人のことを「べっぴんさん」と言いますね。
九州や関西方面の方言です。
京ことばとしても知られていますが、語源は愛知県にあります。
実は、もとは美人という意味ではなかったんですよ。
「べっぴんさん」の由来!元の意味は「○○丼」!?
京ことばで美人を意味する「べっぴんさん」。
漢字で「別嬪さん」と書きます。
「嬪」は、古来、天皇のに使える女官、いわゆる側室のこと。
高貴な女性を意味する言葉です。
「別嬪」は「嬪」の中でも別格の美人という意味です。
ちなみに、化粧をしていない女性を意味する「すっぴん」も「素嬪」。
「嬪」の素顔ということですね。
歌舞伎界で使われていたそうですが、それが芸能界に入り、世間一般に広まったらしいです。
閑話休題。
美人を意味する「別嬪」は、もともとは「別品」と書き表しました。
実は、「別品」って江戸時代に「うな丼」のことを言ってたそうですよ!
「べっぴん」の語源を作った鰻屋は今でもある!
「べっぴんさん」の語源となった鰻屋は、愛知県豊橋市にあります。
JR豊橋駅近くの鰻屋『丸よ』。
江戸時代創業の老舗です。
『丸よ』のルーツである割烹屋『織清』の主人が、当時流行だった「うな丼」をメニューに加えました。
PRのため、他とは違う良い品だという意味で看板に
「頗(すこぶる)別品」
の三文字を画家の渡辺小崋に頼み、書いてもらいました。
これにより、「うな丼」は瞬く間に人気の品に。
「うな丼」の流行と共に「べっぴん」も優れた物を意味する流行語に。
言葉は名古屋に伝わり、やがて全国に広まったそうです。
「別品」は良い品物だけでなく、美しい女性にも使われるようになりました。
しかし、「女性は品物ではない!」ということで、「嬪」の漢字が使われるようになったそうですよ。
当て字好きの夏目漱石は、真っ先に「別嬪」の字を使っていたようです。
なお、「べっぴん」の由来については、明治27年発刊の風俗画報に記録されているそうです。
国立国会図書館で閲覧できるようです。
「べっぴんさん」、京ことばだと思っていましたが、ルーツは愛知にあったのですね。
そして当時の流行語として、東京、全国へと広まったんですね。
なんか、言葉の意味や使われ方が変わっていくのは、現代とそんなに変わらないもんですね。
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