天空の遺跡といえば、南米マチュピチュだと思いますよね~。
しかし、アジアにも天空の遺跡と呼ばれる絶景世界遺産があります。
しかも、カンボジアに。
アンコールワットが有名で、ぶっちゃけ高い山のイメージなんてコレっぽちも無かったんですが、まるで「天空の城ラピュタ」の世界のような素晴らしい光景が割りと近くにあったんですね~。
(トップ写真引用:http://yaplog.jp/angkorworl7/archive/6)
「プレアヴィヒア寺院」の歴史
カンボジアにある世界遺産は2つ。
超有名で、テレビでも映画でも旅行パンフレットにも載りまくっている「アンコールワット」。
そして、じわじわ話題になってきている、アジアの天空の遺跡「プレアヴィヒア寺院」です。
「プレアビヒア寺院」と表記されることもありますね。まあ、どっちでもいいや。
カンボジアとタイの国境付近、ダンレク山地内にあるヒンドゥー教の寺院です。
9世紀末にクメール人によって建設され、11世紀に増築されたとされています。
プレア・ヴィヒアと区切り、「神聖な寺院」という意味。
ちなみに、タイ側ではプラーサート・プラウィハーンと呼ばれ、意味はおんなじ「神聖な寺院」です。
建設当初はシヴァ神を祀るヒンドゥー教のお寺でした。
増設を繰り返しながら、ヒンドゥー教が衰退すると、仏教の寺院として使われていた時期もあるそうです。
タイ・アユタヤ王朝時代はタイ領となります。
カンボジアは欧州の世界進出以降、衰退の一途をたどり、1863年にはフランスの保護国となり、1867年にフランス領インドシナの一部となりました。
こっからが、ややこしい!
1904年、シャム・仏条約(シャム国は現在のタイ)により、プレアヴィヒア寺院はシャム国とフランス領インドシナの国境に位置してしまいました。
とりあえず、分水嶺(境界となる山の峰)の南側にあるってことで、フランス領インドシナ側と認識されていました。
が、1934年の調査で地図の国境と分水嶺が一致しておらず、実はプレアヴィヒア寺院は分水嶺の北側、つまりシャム国側と判明!
が、シャム側がフランス側に異議申し立てしなかったので、そのまま。
1940年、タイ・フランス領インドシナ紛争勃発。
日本が間に入り東京条約調印。
1942年にプレアヴィヒア寺院はシャム国領になりました。
1946年ワシントン条約。
この時点で、プレアヴィヒア寺院は地図上ではフランス領インドシナ。
分水嶺では、シャム。実効支配はシャムが継続中という状況に。
カンボジアは第二次世界大戦中に日本軍の東南アジア進出により、独立宣言したものの、日本の敗戦後は再びフランスの保護国となっていました。
カンボジア VS タイ
1953年、フランスから独立と同時にカンボジアはプレアヴィヒア寺院の奪回に乗り出します。
軍を送り込みましたが、タイ軍に阻まれ失敗。
タイ側は国境を封鎖。
1958年に両国で領土問題解決のために会議を行いましたが、決裂。
国交断絶してしまいます。
1959年、カンボジアが国際司法裁判所に提訴。
プレアヴィヒア寺院の帰属、タイ警備兵の撤退、持ち出した美術品の返還を求めました。
1962年に判決が下され、プレアヴィヒア寺院の領有権はカンボジアにあるとされました。
2008年にプレアヴィヒア寺院は世界遺産に登録されます。
が、タイ国内の政治団体や市民団体が激しく反発。
両国とも軍隊を送り込み、世界遺産周辺で対峙している状態になってしまいました。
タイ側がユネスコに世界遺産登録見直しを訴えたり、
タイ愛国者がプレアヴィヒア寺院(カンボジア)に不法入国したと有罪になったり。
2011年には、二国が武力衝突し、死傷者が出てしまいました。
これを受け、国際司法裁判所は、プレアヴィヒア寺院およびその周辺を暫定非武装地帯に設定し、両国部隊の即時撤退を命令。
タイのインラック・シナワトラ首相が、カンボジアを訪問。
紛争解決に向かって動き始め、
2013年11月、カンボジアの提訴を受けた国際司法裁判所は寺院周辺の土地もカンボジアに帰属すると判断。
ようやく長年の領土問題に決着がついたのでした。
絶景!プレアヴィヒア寺院で見えるもの!
つい最近まで領土争いをしていたプレアヴィヒア寺院。
行くまでにも、現地にもその爪痕が感じられるみたいです。
2011年頃は、日本の外務省HPで「渡航の是非を検討してください」となっていました。
現在は、カンボジア全域が、「十分注意してください」ですけどね。
日本にいると、なかなか感じにくい国境という土地柄、あえて地雷を残している地帯があったり、
国境警備のカンボジア兵がたくさんいたり、
風化した遺跡の中に、明らかに近年の弾痕らしき傷があったり・・・。
そういう景色や空気を全身で感じられるみたいですね。
日本にいたら見えない世界が見られそうです。
そして、絶景!
歴史を感じさせる、ロマンあふれる建築物。
文明が植物に侵食された廃墟の美しさ。
断崖絶壁から見下ろす雄大な地平線!
死ぬまでに一度は行ってみたいですね~。
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