中国からの輸入ピーナッツから、
「アフラトキシン」が検出したことが話題になっています。
「アフラトキシン」といえば、かつて日本では事故米不正転売事件で話題になったカビ毒です。
アフラトキシンとは?
「アフラトキシン」はカビ毒の一種です。
カビ毒とは、畑など土の中にいるカビが生成する化学物質で人体に害を及ぼすものをいいます。
農作物がカビによって汚染されている場合、貯蔵中にカビ毒が生成されます。
大量のカビ毒が生成されるのは、だいたいがナッツ類や穀物・豆類など長期保存されるものです。
また、毒が生成された農作物を飼料として家畜が食べると、今度は家畜の体内にカビ毒が蓄積されます。
その家畜から作られた加工食品、例えば乳牛が汚染されていれば、そこからとれる牛乳も汚染され、その牛乳から作るバターやチーズなども汚染されることになります。
「アフラトキシン」は主に輸入品から検出されることが多く、日本国内で生産されている農産物での検出はほとんどありません。
ただし0ではなく、2011年、宮崎大学農学部が生産した食用米からB1型アフラトキシンが検出された記録もあります。
アフラトキシンなどのカビ毒は完全に排除することは難しく、日本では基準を設けてはいますが、輸入品に頼るナッツ類や豆類、コーヒー豆などからは微量に摂取していることになります。
アフラトキシンの毒性とは?
アフラトキシンは発がん性が非常に高い毒です。
動物実験では15 μg/kgのアフラトキシンB1を含む飼料で飼育されたラットが、23匹中23匹全て肝臓がんを発生したという記録があります。
また熱に強く、食品加工の際の加熱処理でも分解されずに残ります。
アフラトキシンは、米や小麦・トウモロコシなどの穀類、大豆やピーナッツ・アーモンドなど豆類やナッツ類を主に汚染しているといわれています。
日本で起きた事故米不正転売事件
日本でアフラトキシン汚染の有名な事件は、2008年9月にあった三笠フーズの事故米不正転売事件です。
農林水産省が輸入米(この時はベトナムや中国から)の中でアフラトキシンに汚染されている事故米穀を工業用(非食用)として、三笠フーズ株式会社に売却しました。
その事故米が、食用として転売していたという事件です。
転売発覚後、農林水産省は回収を要請し商品の自主回収を行わせました。
三笠フーズは全従業員を解雇・事業縮小を図ることとなります。
その後、政府が他の事故米について処理状況を調査したところ、不正転売をしていた会社が他にも出てきました。
転売先については、複雑な流通経路を経ており、食品加工会社や酒造会社・菓子製造会社など全国多数の業者に転売されていたことが判明。
転売先は政府により公表されました。
一連の事件の中で、転売先の社長が自殺するなど、大変な問題となりました。
当時の農林水産大臣と事務次官が辞任することで、事件対応の責任をとったという形で事件の収拾をつけています。
食の安全については、日本は非常に厳しいとされています。
三笠フーズの事件のように、風評被害などの恐れがあっても、社名公表することが多いです。
食べ物は、国民の命に関わる問題ですから、事業者への同情もありますが、やはり厳しい姿勢を貫いてほしいと思います。
また、誤解しないでほしいのは、輸入・国産に限らず微量のカビ毒は含まれているが、市場に出回る食品の多くは安全基準をクリアしているということです。
変に輸入ナッツは危ない、ピーナッツは危険と思わないでほしいです。
カビ毒は自然界に存在する毒性で、完全に除去することは難しいです。
かといって、カビ毒を恐れて穀類・豆類・ナッツ類を全くとらないのは、健康を維持するという観点からはリスクがあります。
バランスよく食品をとれば、人間の身体はある程度毒に耐性がありますので、あまり神経質にならないでほしいです。