岩手県の伝統工芸、「南部鉄器」。その代表的なものに「鉄瓶」があるんですが
実はフランスでこの「鉄瓶」が「カラーポット」として大人気らしいです。
え?私の知ってる南部鉄器は、黒くて、重くて、日本昔話に出てくる丸いボコボコがついた鉄瓶のイメージですが、「カラーポット」!?
どうなってるのか、調べてみました。
(出典:http://www.kappa-maeda.co.jp/SHOP/tks-m.html)
なんで岩手県なのに「南部」鉄器?
「南部鉄器」は岩手県の伝統工芸として有名です。
しかし、なぜ東北の岩手県なのに「南部」とつくのでしょうか?
これは岩手県が昔、南部藩という名前だったからです。
今の北上市のあたりから、青森県の下北半島あたりまでが南部藩と呼ばれ
そこで作られていたから、「南部鉄器」と言います。
「南部せんべい」も同じ理由で、青森県でもフツーにありますもんね。
南部鉄器は、江戸時代に茶の湯の釜を作ったのが始まりとされています。
その後、釜の小さいバージョンとして鉄瓶が作られました。
鉄器は基本的に鋳型(いがた)という形に、ドロドロに溶かした鉄を流し込み作る鋳物(ちゅうもの)です。
手間のかかる作業で、ほとんどが職人さんの手作業です。
よって、大量生産の安い品に押されて産業は衰退。
200軒以上あった工房も、現在は14軒しか残ってません。
その中の一つで、現在一番規模の大きいのが『岩鋳』(いわちゅう)さんです。
創業は明治35年ですが、南部鉄器界では若手だそうです。
海外で広まった「IWACHU」
『岩鋳』さんは早くから伝統工芸の生き残る道を探して、新しいモノづくりに挑戦してきました。
鉄瓶だけでなく、すき焼き鍋や灰皿など枠を超えて新製品を作り、機械化も(できる部分は限られてますが)取り入れてきました。
そんな姿勢に反対する同業者もいらっしゃったそうですが、
「会社が潰れたら伝統工芸を守ることも、職人を守ることもできない。
南部鉄器を知ってもらうことが大切だ。」
と信念を持って、取り組んできたそうです。
早くから、工場見学ができるようにしたり、レストランを作ったり
(私も小学校の社会見学で行きました。)
観光客を取り入れながら事業を展開してきました。
(震災の影響でレストランは閉鎖したそうです。)
1996年、パリの紅茶専門店からある注文がきました。
「カラフルな急須を作ってほしい」
南部鉄器は黒が当然なので、この注文にはかなり困ったそうです。
3年かけて着色方法を開発。
しかも、鉄瓶は急須として使うものですから、体内摂取しても安全な着色料を使うことを徹底したそうです。
(プロの安全意識と3年かける根性がすごいです!)
依頼先に納めたところ、たちまちヨーロッパで大人気。
アメリカや中国にまで輸出される世界的ヒット商品になりました。
海外では南部鉄器は「IWACHU」(イワチュー)の名で知られるようになったそうです。
いやー、スゴイですね。
こういうプロ意識の高い職人さんたちに、ジャパンクオリティは支えられているんですね。
ありがたいし、誇らしいことです。
鉄瓶の正しい扱い方
鉄器は鉄ですから、錆びます。
なので、扱いにはちょっと注意が必要です。
そもそも、日本で鉄瓶を使うのは、鉄がお湯に溶けだして鉄分を摂取できるからです。
欧米では硬水が基本ですから、鉄分を摂ると言う発想がなく、鉄瓶文化が出来てこなかったのでしょう。
南部鉄器の鉄瓶は基本的にサビ防止加工がされているので、錆びることはありません。
それでも、長く使うためには、正しい扱い方を知っておく必要があります。
①初めて使う時は1、2回すすいで、煎茶を一杯分布に包み、
お湯で20分位煮込むか、米のとぎ汁を入れ煮込む。
この作業を2、3回繰り返すとさらに効果があります。
(金気止めと内部の金漆の臭いをとる効果ががあります。
煮立てる間はフタをはずしてください。)
②使い終わったら、内部を乾燥させます。
余熱利用、または弱火で1分程温めます。
(内部はこすらず、必ず乾かしましょう。外側は乾いた布でふきます。)
内部は使い始めて5日目ほどで赤く錆びたような斑点が現れ、10日目頃、白く湯あかが付き始めます。
それ以降は湯あかが徐々に内部を覆い、内部が赤くても水は透明を保つようになります。
錆びと思って拭いたり、洗ったり、こすったりしてとらないでください。
もし、錆びさせてしまった場合は①②を2~3回繰り返します。
ちょっと扱いが難しいと感じるかもしれませんが、日本やアジアで愛されてきた鉄瓶文化です。
1つくらいは持っておきたいですね~。(けど高いんだよね。)
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