夢枕獏先生の小説「陰陽師」。
何度もドラマ化している作品ですが、2015年にもスペシャルドラマになりました。
安倍晴明役は市川染五郎さん。
そして、親友・源博雅役は堂本光一さんが演じます。
ところで、この陰陽師の親友・源博雅さんは小説の中の創作ではなくて実在の人物なんですよね?
(トップ写真は、市川染五郎さんの安倍晴明です。)
源博雅とは?
源博雅さんは、西暦918年生まれ~ 980年没。
時は平安、後醍醐天皇の孫として誕生しました。
当時は皇位継承権の順序が曖昧になると争いになりやすく、身分の低い母親の子(王子・王女)を「源」の姓を与えて皇族から臣下へと格下げすることがあったそうです。
(源氏物語にもそういう本来なら皇族の人が登場しますね。)
源博雅さんは、史実では雅楽師で、ドラマや映画では笛の名手として描かれます。
実際に管弦の名手だったそうで、特に大篳篥(ひちりきの一種。現在の雅楽では使われない)を得意としていました。
音楽に関するいろんな説話(エピソード)も持っています。
ある時、天皇の秘宝であった「玄象(げんじょう)」という琵琶が盗まれました。
それが羅城門で音を奏でていることを知った源博雅さんは、勇敢にも一人でその琵琶を取り戻しに行きます。
この音色は人ではなく「鬼が奏でている」と思いましたが、無事にその玄象を取り戻し帰りましたとさ。
また、逢坂の蝉丸が琵琶の名手と聞いた源博雅さんは、なんとしても聴いたみたいと思い3年も通いつづけます。
遂には、琵琶の秘曲「流泉(りゅうせん)」「啄木(たくぼく)」を伝授されたそうな。
(蝉丸さんは、「これやこの 行くも帰るも分かれつつ 知るも知らぬも逢坂の関」の歌で有名な人。百人一首では頭巾をかぶっている絵が描かれますが坊主です。)
現在でも演奏される雅楽「長慶子(ちょうけいし)」の作曲者でもあります。
天才的な音楽家だったんですね。
しかも、もともとは王子様。
これはモテるわ。
安倍晴明の親友ではない?
小説で安倍晴明の親友として登場。漫画でも同じく。
それを原作にしているドラマや映画でも、当然親友として重要なポジションを持っています。
しかし、安倍晴明と親友だったという史実は無いそうです!
全部、夢枕獏先生の創作です。
ちょうど同じ時代に、同じ宮中で活躍した二人。
方や陰陽師として、方や雅楽師として。
それだけで、二人を親友として、逸話をうまく絡ませながら創作する。
夢枕獏先生の想像力はすごいですね!
陰陽師・安倍晴明に、師である賀茂忠行。
そして陰陽師の二大勢力となる安倍氏に賀茂氏。
ライバルの蘆屋道満(あしやどうまん)。
親友・源博雅と、史実もフィクションも含めてロマンあふれる時代ですよね。
まだ占いや呪いが権力を持ち、史実も曖昧なこの時代。
ファンタジー要素にあふれまくりで、小説・映画・ドラマ・漫画・ゲームと様々な創作に使われるのが分かります。
特にドラマや映画は技術の発達によって、魔法や術の表現がどんどん多彩になってます。
最ドラマ化、最映画化の度に楽しみなんですよね~。
しかも、今回は陰陽師役が市川染五郎さん。
源博雅役が堂本光一さんということで、どうなるんでしょうか?
陰陽師は野村萬斎さんのイメージが強いんですが・・・期待してます!
9月13日(日)夜9:00~ テレビ朝日系列で放送ですよ!
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