スタジオジブリの高畑勲監督映画「平成狸合戦ぽんぽこ」。
陽気なタヌキたちと人間たちの戦いをコミカルに描いた作品ですが、舞台となった場所モデルとなった話、隠されたテーマ性など知ってからだと見方もずいぶんと変わってきますね。
子供の頃には気づけなかったメッセージも、大人になった今なら考えてしまいます。
大人になっても楽しめる作品、おススメ度は ★★★★ です!
「平成狸合戦ぽんぽこ」舞台!
1994年公開。スタジオジブリ制作。
原作・監督・脚本、高畑勲さん。
開発が進む多摩ニュータウンを舞台に、人間によって住処を追われつつあるタヌキたちが、化学(ばけがく)を使って人間に抵抗する様子をコミカルに描いたアニメ作品です。
舞台となった多摩ニュータウンは、同じくスタジオジブリ制作、1995年公開の「耳を澄ませば」の舞台でもあります。
「平成狸合戦ぽんぽこ」でタヌキ達の住処を壊し作り上げた新興住宅地が「耳を澄ませば」の雫が住んでいる場所んですね。
2作品のつながりは、「平成狸合戦ぽんぽこ」のエンディングで出てくる街と、「耳をすませば」のオープニングの街が全く同じであるところに見られます。
そう思うと、「耳を澄ませば」で雫が作詞した”コンクリート・ロード”が皮肉めいて聞こえてきます。
「コンクリート・ロード」
どこまでも 森をきり、谷をうめ
ウエスト東京 マウント多摩
ふるさとは コンクリート・ロード
耳をすませば、歌詞編より
それだけでなく「耳をすませば」オープニングには、車がたくさん通るカーブした道路や団地など、「平成狸合戦ぽんぽこ」とのリンクを思わせる場所が登場します。
妖怪大作戦が行われた団地や、タヌキが轢かれちゃう急カーブなどです。
「平成狸合戦ぽんぽこ」は高畑監督、「耳をすませば」は近藤喜文監督で宮崎駿さんが制作プロデューサー。
違う人間が制作してますが、偶然ではなく、故意にそういう演出をしたのだと思います。
2つの作品を繋げることで、伝えようとしているメッセージがあるのではないでしょうか?
考えさせられる、込められたメッセージ!
ユーモアたっぷりでコミカルな「平成狸合戦ぽんぽこ」。
テーマは「人間による自然破壊」という割とわかりやすいものだな~と思ってました。子供の頃は。
しかし大人になって改めて観ると、ちょいちょいセリフや演出に引っかかるところがあるんです。
それは、タヌキたちが人間っぽすぎること。
アニメ作品だし、動物を人間のように描くのは昔ばなしからの表現方法です。
けど、タヌキがこんなセリフを言うんです。
「僕らも花や木と同じなんだ」
人間から見れば、タヌキは自然界の一部です。
しかし、この作品はどこまでもタヌキ目線。
タヌキたちは私達同様、自分たちとそれ以外の自然物を分けているんですね。
じゃあ、タヌキから見た人間たちは、自然界の一部と捉えられているのでしょうか?
タヌキから見た私達って、何なんでしょうか?
結局、全ては自然界の一部でしかないということなんだろうなと思います。
自然破壊に警鐘を鳴らすのも、自分たちの首を絞めているってことだからですよね。
全部繋がっているんですよね、花も木も、タヌキも人間も。
ラストシーンで一部のタヌキたちが人間に化けて人間界で生きている描写があります。
子供心に、もしかしたら本当にタヌキが人間に化けて・・・と、ちょっぴりワクワクしました。
大人になってから観ると、切ないものがありますね。
本来の生き方を捨てて、長いものに巻かれて生きるみたいで。
どんな場所でも、みんな、頑張って生きているんですよね。
カメオ出演している、ジブリキャラクター達!
作品に由縁のある人物などが、ちょっとした端役で出演することを「カメオ出演」といいます。
アニメ作品だと、他のアニメ作品のキャラクターや監督本人がキャラクターとして登場することがありますね。
「平成狸合戦ぽんぽこ」にも、同じスタジオジブリのキャラクター達が多数カメオ出演しています。
登場するのは、物語で最も盛り上がる「妖怪大作戦」のシーン。
空をとぶ妖怪たちの中に混じって、ジブリキャラ達が飛んでいますよ。
登場するのは、以下のキャラクター達です。
・トトロ(となりのトトロ)
・ポルコと赤い飛空艇(紅の豚)
・ホウキに乗ったキキ(魔女の宅急便)
・小学5年生のタエコ(おもひでぽろぽろ)
全部見つけられましたか?タエコまで空を飛ぶとは・・・。
スタジオジブリの遊び心が楽しいですね。
個人的に「平成狸合戦ぽんぽこ」は、初めてちゃんとした映画館で観た作品で思い入れがあります。
最初に観たのがぽんぽこだったから、面白かったから、映画が好きになり、たくさんの映画作品に出会えました。
スタジオジブリと高畑監督は、私の人生に大切なファクターを与えてくれてんですね。感謝感謝です。
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