秋田県熊事件!出没数増加理由、それでも危険承知で山に入る?

2016年、秋田県だけで4人も熊に襲われ、亡くなられてます。

熊に遭遇した事件だけなら、さらに多いです。

山にタケノコ採りに入り、熊に襲われ、逃げた結果遭難してしまうこともあります。

熊の出没、被害は目に見えて増加しています。

秋田県内では毎日警察が入山自粛を呼びかけ、ニュースや町内放送でも注意喚起しています。

それでも山に入るのは、なぜでしょうか?

 

秋田県の熊被害に関する事件

2016年に入ってから、熊による死亡者数が秋田県で4名。

秋田県鹿角(かづの)市十和田周辺の山林で起きていて、同じ熊によるものだと地元では考えられています。

 

熊による一連の死亡事件は以下の通り。

 

2016年5月21日、79歳の男性の遺体を発見。

20日にタケノコ採りに入山していた。

顔や左半身に多くの爪痕やかみ跡があったという。

 

同月22日、78歳男性がクマと遭遇した後、行方不明になったと110番通報。

午後に遺体で発見された。

頭や腹には引っかかれたような傷が複数あった。

 

同月29日、78歳女性が熊に尻を噛まれ、軽傷を負う。

 

同月30日、65歳男性が遺体で発見。

25日からタケノコ採りに入山し行方不明になっていた。

動物にかまれたような痕が複数あった。

 

6月10日、74歳女性が遺体で発見。

8日から山菜採りに入山し、行方不明に。

遺体の損傷が激しく、噛み痕があった。

 

熊の被害が相次いでいることから、周辺は立ち入り禁止になっています。

4人目の女性が車を停めていた場所は、通行止めになっていない場所でした。

しかし、鹿角市では熊の目撃情報が相次ぎ、注意を呼び掛けています。

 

なぜ、熊に気づかない?

被害にあったのは、いずれも高齢者の方。

山菜採りが趣味の、十和田周辺(車で2~3時間の距離)の住民。

ベテランで、熊除けの鈴やラジオなどを持っていたことでしょう。

なぜ、熊の被害にあってしまったのでしょうか?

 

まず、誤解のないように、秋田の「タケノコ」についてご説明します。

秋田県でタケノコというと、普通は「根曲がり竹」「姫筍」と呼ばれる、細長いタケノコのことです。(※画像クリックで楽天に飛びます。)

大きい孟宗筍とちがい、掘る必要がありません。

素手でポキッと折れるので、道具は軍手カゴくらいです。

 

生えている環境も、かぐや姫のいるような竹林ではなく、笹藪

子供の背丈くらいはゆうにある笹の葉が生い茂っている場所に入っていきます。視界は最悪です。

ましてやタケノコ採りは、足元を見ながら進んでいくので、周りは見えていません。

 

それでも、音を頼りに、何かが近づけば分かると思います。

ただ、タケノコ採りをする人は、熊除けに鈴やラジオなど、音のするものを持っています。

笹藪を動く自分の出す音もあり、耳が遠いと聞こえない可能性もあります。

近くに川があると、その音もけっこううるさいです。

 

ましてや、ベテラン山菜採りの方。

野生のツキノワグマは臆病です。

音を出して人間に気づかせれば逃げていくことを知っています。

熊に遭遇するときというのは、熊と人がお互い気づかずに近づいてしまうことが多いのです。

 

しかし、鹿角市で起きている熊被害事件は、人を襲っています。

ツキノワグマは雑食です。

タケノコもキノコも、虫やハチミツ、肉や魚も食べます。

人間の味をしめてしまい、積極的に近づいている可能性が高いです。

 

もう一つ、「熊なんて滅多に会わない。」「自分は大丈夫。」「毎年来ているから。」

そういう自負があったんでしょう。

何年も山菜採りに行く人ほど、そういうことを言います。

家族がやめとけと言っても、行ってしまうのです。

1人でではなく、誰かと行くだけ、まだマシな方です。

 

事実、警察、自治体が注意喚起をしているのに、山に行けば無人の車がたくさん停まっています。

町には町内放送用のスピーカーがあり、熊の目撃情報が近くであると放送されます。

それでも、行く人は行くのです。

そして、毎年遭難のニュースが放送され、もはや風物詩かの如く。

 

タケノコ採り自体は、年月が経てば採る人が減るでしょう。

若い世代に採る人が少ないですから。

一定量まで減れば、需要と供給バランスで高価になり、また増えていくかもしれませんね。

 

熊出没数が増えた理由

今年に限らず、秋田に限らず、熊による被害は年々増えているように感じます。

その年によって、熊の出没数が多いとか少ないとかあるのですが、それでも多すぎると感じます。

ツキノワグマによる人身被害発生件数と被害者数が下の表です。

年度 発生件数 被害者数
20年度 49 52
21年度 50 62
22年度 142 147
23年度 64 78
24年度 73 75
25年度 42 52
26年度 111 118
27年度 52 56

毎年50人、多い年は100人以上が被害にあっています。

特に多かった22年度には、4,800以上が有害獣として捕獲され、その9殺害処分されています。

 

一般的に山に食べ物が少なかった年は、人里に熊が現れ被害が大きいです。

空梅雨、猛暑、寒さや雪が長かった年などですね。

 

熊の被害は人身被害だけでありません。

農作物や家畜の食害、「クマハギ」による林業の被害もあります。

(クマハギとは、ツキノワグマが木の皮を剥いで形成層を齧ってしまうことです。)

 

クマ出没数増加の原因はいくつか考えられます。

 

熊の数自体が増えた。

シカやカモシカが増加し食害が深刻ですから、熊が増えていても不思議じゃありません。

ツキノワグマの生息数は、全国で約1万~1万5000頭と言われています。

しかし、2006年には5000頭近く処分されているんですよ。

その数が本当なら、とっくに絶滅危惧種になっているのでは?

野生動物の生息数は区画法で出されるのですが、正確性は疑問です。

 

天然の森林が減少した。

自然環境が変わり、熊や野生動物のテリトリーだった環境が減ったため、人のテリトリーに入ってくるようになったのでは?

山での食糧不足も、その影響があるのかも。

 

高齢化と過疎化。

山里の集落地域で人の気配が少なくなったため、野生動物が出没するようになったのでは?

 

ゴミのポイ捨て

アウトドアや登山などで、山林に人の残飯が捨てられ、それを食べて味を覚えてしまった。

人の作ったものの方が、山のドングリより美味しかったら?

より美味しいものを求めるのは、人も熊も一緒でしょう?

 

熊や野生動物の被害は、どんどん深刻化しているように感じます。

秋田県では、小中学校付近での熊目撃情報が出ています。

それほど、人のいる中心地域まで出没しているのです。

野生動物の駆除は、心情的に可哀想と思うかもしれませんが、被害にあっている農村住民の立場も可哀想です。

もっと正確な熊の生息数調査と、駆除と保護の適切なバランスを取ることに国が力を入れて欲しいと思います。

 

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